「クローズアップ現代+」の放送から感じたこと

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ローンについての番組が放送されることってあまりないのですが、先日のNHK「クローズアップ現代+」で若者もシニアも破産急増!?銀行カードローン」というタイトルの番組が放送されました!めずらしい!!

詳しい放送内容は公式番組HPへどうぞ ⇒ コチラ

貸金業法が完全施行になり、「総量規制」が実施され始めたのが2010年。

それ以降貸金業者の残高は減少している一方で、銀行のカードローン残高はじわりと増え始めています。

また、自己破産者数もじわりと増え始めています。

ここに関連性はあるのか??銀行にも総量規制を実施すべきなのか??

番組はこのあたりのことを中心に進められていました。

銀行のカードローン残高増加については最近の報道記事にも出てきていますし、自己破産者数の増加についても同様なのであえてここでは書きません。

それよりもこの業界にたずさわる一人として、番組を見ながら思ったことがいくつかあります。それは、

  • 金利の高低が返済困難の直接的原因になるわけではない
  • 「多重債務」が問題なのではなく、債務者それぞれの状況に応じた「過重債務」状態が問題である

以上2点です。詳しく説明していきますね。

まず「金利の高低が返済困難の直接的原因になるわけではない」について、このままだと言いたいことがきちんと伝わらず、誤解されてしまいそうなので少し詳しく書かせてもらいます。

番組内で取材に応じられていた女性の利用状況は銀行カードローン4社250万円くらいということでした。

貸金業界でもこれまでに多重債務問題は何度も取り上げられ、借入件数や金額もこれと同じぐらい、あるいはもっと多い金額のケースもあったと思います。

ただ当時の貸金業界と現在の銀行カードローンとではっきりと違う点があります。それは年利です。

貸金業法の改正に合わせて、利息制限法と出資法も改正されましたので、現在の上限金利は15~20%になっていますが、改正前は29.2%でしたし、過去には50%超であった時もあります。

わたしは別に今の15~20%が十分低いとか主張したいわけではありませんが、過去の金利と比較して相当に低いものになっていることは確かです。

金利が低いということでトータルの返済額が少なくなることは当然ですが、もう一つ、同じ借入金額、同じ返済回数の場合、金利が低ければその分毎回の返済金額は少なくなる、ということがあります。住宅ローンを利用されている方はイメージしやすいのではないでしょうか。

上記の銀行カードローンを利用された女性の返済回数は定かではありませんが、通常はリボ払いにより完済まで3年以上、長いと9年とかもあると思います。この返済回数は今も昔もそう変わりはないでしょう。

そうすると10年以上前の4社250万円(貸金業者からの借り入れと仮定)と現在の銀行カードローンからの4社250万円では、現在の方が毎月の返済額が少なくなっているはずです。

毎月の返済額が少なくなったのであれば、理論上「計画的な」利用につながっていくはず。

しかし結果はこの女性のように自己破産の申し立てに至っています。

ローンが生活面で有益であるという前提で考えてみた場合、ここで考えなければいけないことは「本当に利用者のためになる契約内容、あるいは融資の審査基準とは何なのか」ということを、もちろん業者も含めて、しっかりと問い直してみる必要があるということだと思います。

単純に毎月の返済額が少なくなっても、それで計画的な利用にはつながらないとしたなら、他に何を考慮することができるのでしょうか?

例えば「利用目的」があると思います。

申込時にはローンの利用目的を申告していただきますが、当初必要だった資金使途はじつは一つ、あるいは二つぐらいしかなかったはずです。

例えば子供の進学費用として10万円が必要なら、この10万円は進学費用で借りた10万円です。

これを完済する前に、例えば5万円残した状態で、また別の目的で5万円借りたとしたら、その10万円に対する利用目的は3つになり、当初の利用目的も少しずつあいまいになってきます。

そうしてまた追加で利用することを繰り返していくうち、次第に利用する目的を考える前に、まず借りて、その後に利用目的を考える、という逆転現象が起きてしまうのだと思います。自転車操業的な借り回りがこの典型例だと思います。

金利面でのサービスよりも、利用目的をしっかりとヒアリングし、その上で完済までの道筋を立てる。

その結果毎月の返済額が増えるとしても、それがお客さまにとってよいことなら積極的に提案する。

こういった融資実行までのヒアリングと、そもそもの融資の希望動機を相互に確認することに力点を置く必要があると感じました。

もう一つの気付きである「「多重債務」が問題なのではなく、債務者それぞれの状況に応じた「過重債務」状態が問題である」についても少し説明が必要です。

そもそも「多重債務」という言葉についてですが、この言葉にはじつは明確な定義がありません。「何件借り入れしていて、いくら借りていたら多重債務」という定義がないので、それぞれ使用する人の考えによって意味が変わってきます。

ところで私は「多重債務問題」という言葉があまり好きではありません。

例えば1社から100万円借りている人と、4社から100万円借りている人がいたとして、4社から借りている人のことを一般的に多重債務者と呼びますが、では1社しか借りていない人は問題を抱えていないと言い切れるのでしょうか?

あるいは1社300万円借りている人と4社50万円借りている人、どちらが問題を抱えているのでしょうか?あるいは両方とも抱えているのでしょうか?

1社30万円しか借りていない人は多重債務者ではない、と断言できる根拠はどこにあるのでしょうか??

わたしは「多重債務問題」という言葉によって、クレジットやローン利用者の抱える問題をある意味シンプルな構造にしてしまったのではないか、と思っています。

借金問題はとても個人的な部分にその根っこがあり、10人いれば10通りの問題があります。一つとして同じものはありません

ある人にとって、例えすくない金額の借金であったとしても、例え利用件数が1件であったとしても、それが「過重」な負担を強いるものであるのなら、それは解決していかなければならない問題だと思います。

「過重債務」とは借金をそのような視点で捉えることだと私は思っていますし、借金の問題を考えるときは「どこに過重債務の原因があるのか」を発見することがまず最初にしなければならないことだと思います。

最後に、番組の中で宇都宮健児弁護士はこのような指摘をされていました。

実は、全国各地にある社会福祉協議会では、生活福祉資金貸付制度というのがあるんですね。
(生活福祉資金貸付制度?)
ここでは、保証人がついていれば金利がゼロ、保証人がつかない場合は、年1.5%で借りられる。
ただ、あんまり考慮されて、使い勝手がよくないという問題があるんですけど、こういう所に相談してみるということ

これはいわゆる国の推進している「セーフティーネット」という言われるもので、経済的に困窮状態にある方への支援策のひとつです。

ただこの生活福祉資金貸付制度ですが、残念ながら実際の貸付にまで至らないケースも多いです。

当然想定されるケースなのですが、社会福祉協議会(社協)に相談する前に、すでに貸金業者を利用している場合があります。わたしが実際に受けた相談者の方もそうでした。

借金の返済もあるし、家賃などの支払いもできないし、という状態の場合、社協の貸付制度はやはり利用できません。このような場合は先に債務整理手続きを検討すべきだと思います。

また、貸し手である社協の事情もあると思います。

福祉目的とはいえ、やはり回収リスクの高い貸出になりますので柔軟な融資とはいきません。

審査にも時間がかかりますし(わたしの相談者の場合、申込から実行までに2週間かかると言われたとのこと)、審査がとおっても希望額の半額以下、というケースもあるようです。これでは目的に適った利用ができません。

この現状を解消する方法のひとつとして私が考えるのは、社協などの公的機関はセーフティーネットの貸付窓口のみ行い、実際の貸付は貸金業者が行うのはどうか、というものです。

現在、貸金業者の貸付は総量規制によって制限されています。

しかしながら、例えば借り換えローン(貸金業法に基づく)や事業者貸付など、条件によっては総量規制の例外として貸付を実行できるものもあります。

その中に特定緊急貸付けという例外規定があります。

これは「特定費用を支払うために必要な資金の貸付け」であって、「社会通念上緊急に必要と認められる費用」であれば、総量規制の対象であっても例外として貸付ができるというものです。

実務上、その解釈があいまいなことから実際に適用している業者はほとんどいないのが現状です。

しかしながら、これをセーフティーネット貸付を目的とするのであれば、実行のハードルが低くなってくるのではないでしょうか。

社協などの公的機関も福祉目的の貸付支援は行いたい、しかし回収リスクは少なくしたいという思いはあるはず。

一方で貸金業者も貸出先は確保したい、また社会貢献としての業務も行っていきたいという考え方もあると思います。

もし貸金業者が生活福祉資金貸付制度に関与していけば、多少金利が高くなったとしても、貸付が柔軟に行われて、貸金業者ならではのノウハウによって適正な返済プランが立てられると思います。この方がはるかに有効ではないでしょうか。

もちろんどの業者でも出来るようでは安全性が確保できませんので、例えばFPの資格をもっている社員がいるなどの条件を設けるのもいいと思います(自分が持っているから言うのではないですが)。

今回は普段から思っていることをいろいろと書いてしまいました。批判される部分もあるかな?

でも書いたことには責任を持ちますし、間違ったことも書いてないと思っています。

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