「総量規制」は誰のためのもの?

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2017年の4月頃から話題に上りはじめた銀行カードローン問題。同時期に個人の自己破産件数が増加に転じたというニュースもあり、金融庁も銀行のカードローン残高の推移には敏感になっているようです。そんな中で実施された金融庁による調査の結果、国内にある106の銀行の内、88%の銀行が融資金額(融資枠)に上限を設定したとの報道がありました。
(※実は106行の内、6行は「上限枠を設定していないし、今後もその予定はない」と言っています。同じニュースでも見方を変えるとまったく違ったものになって面白いですね!)

銀行88% 融資に上限 カードローン 金融庁調査(平成30年8月24日付朝日新聞朝刊)
銀行88% 融資に上限 カードローン 金融庁調査(平成30年8月24日付朝日新聞朝刊)

ここで融資に上限を設けることになったそもそもの原因(?)である、総量規制について簡単に説明しておきたいと思います。
総量規制とは個人が借りられるお金を年収額の3分の1までに制限する仕組みのことで、平成22年6月以降、貸金業法の完全施行により実施されています。
この規制が導入される以前から、貸金業界では自主規制により過剰貸付を防止するための取り組みを行っていました。しかし総量規制が導入されて以降、貸金業者は独自の審査基準による融資枠の設定は非常に難しくなってしまいました。
しかしこの総量規制、じつは実施される前からある懸念、というよりも疑問が業界内外から出てきていました。それはこの総量規制が貸金業者の融資のみを対象としており、銀行のカードローンなどは対象外だということです。ちなみに貸金業者のローンも銀行のローンも、金利の高低はあっても基本的には何もちがいはありません。というよりもまったく同じものといって過言はありません。
さぁ、こうなると銀行の考え方にはどんな変化が起きるでしょうか?
貸金業者は融資が出来なくなったけど銀行は変わらず融資ができて、しかも銀行の融資には貸金業者の保証がつくから銀行としてはほぼリスクが無い、そして昨今の超低金利 ⇒ マイナス金利政策の中、10%超の貸出金利が得られる……
それはもう融資しない手はありませんよね?というわけで、総量規制が実施された平成22年以降、銀行カードローン残高は右肩上がりで伸長していきました。そしてその結果、ここ最近の金融庁による調査の流れとなってきているわけです。

わたしは貸金業界に身を置く人間なので、総量規制について否定的な見解を書くとどうしても「業界の利益を優先している」と思われることがとても歯がゆいのですが、それでもこの総量規制はすぐにでも見直すべきだと思っています。

一つ目の理由は、先にも書きましたように銀行と貸金業者との間にある貸出ルールの不公平さを是正すべきだと思うからです。双方ともに規制がかかっているのならまだしも、同じことをしている両者に対して、一方には厳しく規制をかけてもう一方には御咎めなし、これでははっきり言って仕事になりません。一般常識に照らし合わせて考えてもそうだと思うのですが、どうでしょうか?

ただわたしとしてはもう一つの理由の方が切実で、それは総量規制が利用者の方を向いて、利用者のことを第一に考えて導入されているとはどうしても思えないのです。

貸金業界は過去にたくさんの間違いをしてしまいました。そのことについてこれまでも反省を表明してきていますが、当然これからも同じように反省していかなければならないことです。そしてその反省から、業界の自主規制機関である日本貸金業協会は強力な自主規制ルールを定め、また利用者が返済等で困ってしまったときのために債務カウンセリングの窓口も設けています。これらの取り組みの全ては過去の反省からスタートしていて、もう二度と同じ過ちを繰り返さないために日々検討を重ねてきている結果なのです。

個人の方を対象とした無担保小口融資においては、銀行にも引けをとらない、あるいはそれ以上のサービスを提供できるノウハウが貸金業者にはあると思っています。

しかしそのノウハウを、お客様に提供できるはずの最高のサービスを、総量規制のために届けることができない。これが総量規制の求めていたゴールなのでしょうか?

法律の制定・施行はすべてその国に生きる国民のためにあります。現在貸金業に課せられている法律の規制が、特に総量規制が、本当に国民の利益となるものなのかどうか、その視点で今一度検討して欲しいと思います。