日本ファイナンスでは2013年から2018年までの5年間、九州地方発行のフリーペーパー「北九魂(旧キタキュウ.ビズ)」でコラムを掲載させて頂きました。
今回は2014年8月号掲載のコラムを再掲させていただきます。
公式YouTubeチャンネルにオーディオブック版を投稿しております。ぜひご覧ください。
【オーディオブック版】
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前号記事の後半部分で、「借金の作法」について少し触れた。「作法」という言葉には「物事を行う方法。きまったやり方。きまり」という意味がある。つまり借金をする際にもきまったやり方 (借金の作法)があり、それを無視し、また軽く考えて借金を繰り返す人は後々、ほぼ例外なく過重な債務に苦しむことになる。逆に言えば作法を正しく理解してさえいれば、債務の悩みを抱えることなく、健康的に借金を行えるようになるというわけだ。それでは「借金の作法」について、ここでは消費者金融での借金を前提として一つずつ解説していこうと思う。
一番目の作法、それは「本当に必要な借金なのか、借りる前にもう一度慎重になって考えてみる」だ。企業や自営業者がするものとは違い、個人がする借金は絶対的に「負債」である。決して「資産」にはならない。このように言うと「英会話教室や資格取得の為にする借金は未来の自分への投資ではないか」と反論する人もいるだろう。もちろん自己投資により磨かれた能力は未来の自分にとって大きな資産になることは間違いない。しかし個人に関して言えば、このような「未来」の資産が「今」ある借金の返済を保証することも、担保することもない。なぜなら個人のする借金は「少額短期借入」が原則であり、よって返済計画はあくまで「今」の自分を評価して立てなければならないからだ。
「少額短期借入」が原則である理由はまた後述するが、個人がする借金は必ず「負債」であり、返済原資となり得るのはあくまで「今」の自分の持つ資産や収入のみである。だからこそそれが本当に必要な借金なのか、もう一度慎重に考えてみる必要があるのだ。次回も引き続き「借金の作法」について解説していく。
(執筆者:松原剛)